

WEiN 特別講演会
「成功と生存のはざま」
Between Success and Survival in Endodontics

the Way to Endodontics in Newera(WEiN: ワイン)は2013年、林 洋介(東京都開業)と八幡祥生(東北大)をファウンダーとし東京医科歯科大学 歯髄生物学分野で研鑽を積んだOBを中心に発足した、歯内療法に特化した勉強会です。これまで月に1回、論文抄読を中心に定例の勉強会を10年以上クローズで行ってきました。この十数年で各メンバーもさまざまな講演や執筆などの活動をしてきましたが、それぞれの異なる場所で聴講された先生方からもっと勉強できる場を提供して欲しいとの要望を受けることも多々ありました。会で協議した結果、今後は少しオープンな形で正解に近いとされる歯内療法の知識やエビデンスなどを皆様に提供できる場を作っていくことにしました。その第一弾としてこの度、特別講演会を開催致します。コロナ禍以前には1回だけ外部講師を招聘して短い時間の講演会を開催したこともありましたが、今回は自己紹介を兼ねて外部講師を呼ばず、我々メンバーだけでリレー講演のような形を取らせて頂くことにしました。
年末のお忙しい時期ではありますが、会場で皆様にお会いできること楽しみにしておりますので、宜しくお願い致します。
林 洋介
2024年12月15日(日)
東京科学大学 特別講堂
30,000円(歯科医師)
10,000円(研修医・大学院生・コデンタル)
*昼食付/税込
スケジュール
10:00
開会
10:05
セッションI
辺見 浩一、林 洋介
11:10
セッションII
吉岡 俊彦、山内 隆守
12:05
ランチョンセミナー
倉本 将司
13:10
セッションIII
須藤 享、八幡 祥生
14:15
セッションIV
古畑 和人、坂上 斉
15:20
パネルディスカッション / Q & A
16:00
閉会
講師
歯内療法のエキスパートによる、エキサイティングな講演をお楽しみいただけます!
01
Session I

辺見 浩一
断髄後の歯髄の成功と生存を再考する
断髄は、深在性う蝕に対する歯髄保存治療として汚染された露髄面の機械的な郭清による感染除去により、高い成功率で歯髄を保存することが可能である。そのため、特に歯冠部歯髄を全部除去する歯頚部断髄は、術前に不可逆性歯髄炎の症状のある歯など、従来抜髄の対象であった歯であっても歯髄を保存する「適応症の拡大」が現在広まってきている。しかし、断髄によって残した歯 根歯髄に起こることがまだわかっていないことが多く、ブラックボックスを作り出している可能性も否定できない。断髄の成功と言える症例の中に、本当の意味で生存している歯髄とそうでない歯髄が混在している可能性も加味して治療選択しなければならないのが現状である。本講演では、断髄後の歯髄の成功と生存について様々な側面から考察し、これからの歯髄保存治療を考えていきたい。
林 洋介
予後不良と思われるX線透過像の考察
デンタルX線写真による診査診断は、根管治療を行うために絶対に必要な項目である。歯根を取り囲むようなX線透過像は垂直性歯根破折を疑う兆候であることは広く知られており、その透過像を発見した段階で保存不可能という判断をされている症例も見られる。また大きな病変を有する症例でも同じように保存不可能と判断されてしまう症例も見られる。上記のように一見デンタルX線写真上では予後不良で抜歯と診断されるような症例であっても、通法通りに根管治療を行うことだけで根尖部透過像は縮小し、臨床的にも症状がなく成功と呼ばれる状況に回復させることが可能な場合は多くあると考える。治療を行う意思決定は最終的には患者の意思によって決定されるものであるが、それ以前に本当に抜歯が避けられないのかを再考する必要があるのではないか。またそのために我々は常に研鑽を積むべきである

02
Session I
03
Session II

吉岡 俊彦
根尖病変内への異物の押し出し
私が大学院生の頃、特別なテクニックとして憧れたのは、破折ファイルの除去や根尖孔外のガッタパーチャ除去でした。何度も治療を繰り返し、根管を拡大し、象牙質を削りながらでも根管内外の異物を取り出し、根尖病変が治癒して「成功」して いる症例を見て、自分もその技術を身につけたいと思っていました。しかし、現実はそう甘くなく、除去できず諦めるケース、穿孔してしまうケース、逆に異物を押し出してしまうケースに直面しました。実際には、そのようなケースでも病変が縮小し、臨床症状もなく「生存」している症例を多く経験します。
本講演では、異物が根尖病変内に押し出された際の影響について考え、異物の影響が軽微な場合と注意が必要なケースの見極め方について議論します。さらに、押し出しが生じた際の適切な対応と臨床での判断基準についても考察し、過度な処置を避けるための合理的な対処法を先生方と共有することを目的としています。
山内 隆守
穿孔封鎖の明と暗
本講演では、歯科治療における穿孔封鎖の意義と課題について概説する。穿孔は根管治療において代表的な合併症であり、適切な封鎖が成功率を大きく左右する。一方で、封鎖材料や手技の選択を誤ると感染や予後不良につながるリスクがある。本講演では、MTAをはじめとするケイ酸カルシウム系セメントなど封鎖材料の特性と適応、ならびに穿孔部位や大きさによる術式選択のポイントを解説。また、成功症例と失敗症例を通じて、その成否に影響を及ぼす要因を整理し、術後の予後改善に向けた具体的なアプローチを提示する。

04
Session II
05
Luncheon seminor

倉本 将司
ペリオを伴った歯へ意図的再植術を施した症例
非外科的根管治療に治癒の反応を呈さない歯に対しては様々な要因を検討した上で、外科的根管治療の介入が必要となります。第二大臼歯は周囲組織の影響や器具のアプローチが難しいこともあり意図的再植術が選択されることが多いです。
また、根尖病変を有する歯が歯周炎を伴いエンド-ペリオ病変と呼ばれる難治性の状態になり苦慮された先生は少なくないでしょう。
本講演では根尖病変を有し歯周炎を伴う両側下顎第二大臼歯に対して根管治療を行い、明らかに治癒の反応を呈さない一方の歯に対してProRoot® MTAを用いて意図的再植術を施した症例について報告させていただきます。
須藤 享
誤って矯正用アンカースクリューが貫通した歯根
歯列矯正用アンカースクリューは確実性の高い一時的な固定源として矯正治療で用いられている。植立部位は矯正の治療計画によってさまざまであるが、上顎小臼歯の抜歯を伴う症例の場合、上顎第一大臼歯と上顎第二小臼歯のあいだの頬側に植立されることが多い。本症例はそれに該当するケースであったが、矯正治療が完了後にスクリューアンカーを除去してから症状が出現した。転居に伴い処置医院ではない近医を受診し、そこで初めてアンカースクリューが上顎左側第一大臼歯の近心頬側根を 貫通していたことが判明した。当院へは植立した歯科医院からの依頼であったが、可及的に保存を試みる治療計画を立て、処置を行った。今回は処置後の経過と対応について報告をさせていただく。

06
Session III
07
Session III

八幡 祥生
歯頚部外部吸収の外科的マネージメント
歯頸部外部吸収(External Cervical Resorption: ECR)は,エナメル‐セメント境付近を起点として発症する歯根吸収である.臨床的に問題となるのは,進行性の病態であること,歯周ポケットと交通すると,ブラッシング時の臭いや出血などの自覚症状が生じることにある.すなわち,診断できた段階で何らかの介入を検討しなければならない.本講演では,デンタルエックス線とCBCTによる病変の範囲・進行度の評価に基づいた外科的アプローチによる治療戦略について解説する.特に,外科的アプローチにおける切開線 の設定,修復材料の選択基準およびその実際について,症例を供覧しながら演者の現在の考えを共有したい.
坂上 斉
部分的な垂直性歯根破折への対応
Coming Soon!!

08
Session IV
09
Session IV

古畑 和人
破折歯症候群への対応とその経過
歯の亀裂や破折により特有の痛みや不快感を生じる破折歯症候群(Cracked Tooth Syndrome:CTS)は初期段階での診断が難しい。一方で診断の遅れから歯髄や歯の保存が困難につながることも少なくない。本講演ではCTSの特徴的な臨床症状や診断のプロセスを具体的な臨床例と論文を交えて解説し、保存的アプローチとそれを選択した際の臨床経過を提示する。本講演を通してCTSの早期発見と臨床的な対応を日常臨床で活かせるような知識と理解を深めていただければ幸いである。

会場
東京科学大学 1号館9階 特別講堂
東京都文京区湯島1-5-45
JR御茶ノ水駅:徒歩3分
東京メトロ 丸の内線 御茶ノ水駅:徒歩1分
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